時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

”ばらまき政策”は破滅への道

 近年、政府は、遅ればせながらも積極的に財政再建に取り組んできましたが、福田政権となって、再び旧来の”ばらまき政策”が復活してしまったようです。来年度予算では、政府の累積赤字は、減額となるどころか、6兆円も増えてしまうと言うのです。

 ”ばらまき政策”とは、短期的な集票を目的として、国民のお財布である国庫から、所得移転、あるいは、補助金給付型の政策を実施することです。財政が均衡している状態でしたらまだしも、借金をしてまで”ばらまく”となりますと、これは大きな問題となります。政治家にとっては自らの懐が痛むわけでもありませんし、また、国債を発行すれば国民に不人気の増税をしなくてすみますので、国債発行による歳入の拡大は魅力的です。一方の国民の側も、個々人宛ての債権という形をとりませんので、気付かぬうちに、借金地獄となってしまうのです。いわば、国家も国民も”楽”ばかりを求め、自己規律をやめてしまいますと、破滅への道を、知らず知らずのうちに歩むことになるのです。

 政府の借金の不履行が原因となって、国が乱れた例は歴史に多く見られます。”ばらまき政策”とは一種の公金による買収行為ですし、一度、負のスパイラルが始まりますと、政府でさえそれを制御できなくなります。政府も国民も、もう少し真剣になって、”ばらまき政策”の結末について、危機感をもつべきではないか、と思うのです。