時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

熊猫の中国に鈴をつけるのは

 どのねずみさんも、猫に鈴を付ける仕事は嫌なものです。しかしながら、このお仕事をしませんと、仲間のねずみさんが猫に襲われたり、食べられてしまいます。このお話、何か、猫ならぬ”熊猫(パンダ)”の中国に対する、周りの国々の態度のようにも思えてしまうのです。

 先日、日本と中国の間でも、閣僚会議が北京で開催されましたが、戦略的互恵を掲げて両者が合意に達したのは、経済分野と環境分野のみでした。どちらの分野も、中国の利益になる分野ばかりであり、重大な問題、すなわち、中国が守勢に回らざるをえないチベットウイグルなどの人権弾圧、不透明な軍拡、台湾問題、尖閣諸島東シナ海のガス田、元安是正・・・といった諸問題については、日本国は、中国政府に対して何らの改善を促すことはできなかったようです。

 誰かが、すべきことをし、言うべきことを言いませんと、結局は、予想通りに悪いことが起きてしまいます。リスクを避けてばかりいたのでは、自らの安全を護ることさえできなくなるのですから、日本国政府には、中国政府に物申す勇気を持っていただきたいと思うのです。