時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

日中相互依存は平和を約束しない

 本日、前原外相は、日中関係について、相互依存関係が深まると共に、戦略的互恵を進めるとの外交演説を行ったそうです。しかしながら、相互依存関係の深化は、平和を約束しないと思うのです。

 何故ならば、中国が経済大国化すればするほどに、軍事大国化するからです。かつて、国家間の経済的相互依存の深化は、相互に戦争のデメリットを増加させるので、戦争を抑止するとする相互依存論が流行りました。しかしながら、中国の現状を見てみますと、経済成長で増大した歳入は、社会福祉社会保障といった国民向けの内政よりも、軍備増強に振り向けられています。空母の建造、ステルス機の開発、軍事利用を睨んだ宇宙開発など、年々巨額の資金が軍拡に流れ込んでいるのです。

 このリスクは、尖閣沖の事件で多くの国民が気付いたはずです。しかも、中国では、人民解放軍が政治のコントロールから外れている上に、逆に、政治に対する一定の発言権を確保しているのです。この状態で、相互依存論や戦略的互恵を本気で信じているとしたら、前原外相の政治感覚は疑わしい、ということになります。外相は、日本国民が、自国の安全保障に危機感を抱いていることを理解していないのでしょうか。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。
<a href="https://blog.with2.net/in.php?626231">人気ブログランキングへ</a>