時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

進むも地獄退くも地獄の中国

 南シナ海問題に対する仲裁判決は、中国を、進も地獄退くも地獄の状況に追い込んでおります。

 仮に、仲裁判決を無視し、南シナ海における人工島の建設や軍事拠点化を進めるとしますと、中国は、まずはロシアと同様に、国際社会から経済制裁を受けることは必至です。ロシア以上に、経済の外需依存度の高い中国にとりまして、経済制裁は痛手となり、国民からも不満の声が上がることでしょう。失業率は一気に跳ね上がり、政府を糾弾する暴動も起きるかもしれません。また、仲裁判決に従って、南シナ海からの全面撤退を決断するとしましても、今度は、人民解放軍の不満が高まり、軍のコントロールが効かなくなる恐れがあります。加えて、一部の国民からは、南シナ海からの撤退が中国の国家としての威信を深く傷つけたとして失政の責任を問われ、習政権は、批判の矢面に立たされることでしょう。どちらの道を選んでも、その行く先には地獄が待っているのです。

 果たして、中国は、どちらの道を選択するのでしょうか。どちらの道を選択したとしても、中国の一党独裁体制が崩壊し、民主主義、法の支配、基本的な自由や権利の保障…が行き届いた国に転換することを願うばかりなのです(中国国民には”天国”?)。

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