時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

埋蔵金を山分けしないで

 40兆円から50兆円にも上るという特別会計の積立金が”埋蔵金”と称され、政界では、その使途をめぐる議論が持ち上がっているようです。苦しい財政事情にある中で、”埋蔵金”が存在していることは喜ばしいことなのですが、この貴重な資金が、単に、”ばらまき政策”に使われてしまっては、元も子ないと思うのです。

 特別会計の積立金は、実際には、今年3月に成立した「特別会計に関する法律」によって、既に国債返済に充てられることが決まっており、来年度の予算では、この内、10兆円ほどが使われる予定なそうです(本日産経新聞朝刊)。その一方で、選挙対策としての大型補正予算編成を目的にした一般会計への繰り入れを求める声もあり、うっかりしてますと、この埋蔵金は、山分けされてしまいそうなのです。財政赤字んの規模を考えますと、10兆円どころか、残りの全額を国債返済に充ててもまだまだ足りない、という状況にありながら・・・(財政赤字については、http://blogs.yahoo.co.jp/gakumonnoiratume/26832093.htmlもご参照ください)。

 短期的な目的で山分けしてしまうよりも、長期的展望に立って、政治・経済の両面にわたって足枷となっている財政問題の解決を優先させ、埋蔵金財政再建に費やす方が、日本国並びに国民にとりましてメリットとなりましょう。長いこと霞が関に眠っていた日本国の埋蔵金が、やっと掘り当てられたのですから。