時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

文化大革命は愛ゆえに許される?

 昨晩、日本テレビで『女たちの中国』という番組を放送していました。西太后楊貴妃江青の三人を扱っていたのですが、この三人に対する番組の解釈にしばし唖然とさせられたのです。

 中でも、特に酷かったのが、文化大革命の首謀者であった江青の評価です。テレビでは、野心家としての実像が描かれつつも、最後には、毛沢東への誠実な愛ということで、文化大革命の罪を片づけてしまったからです。知識人や聖職者など、3000万人にも及ぶ人々が犠牲となり、多くの文化財が破壊されたにもかかわらず・・・。チベットの僧院の多くも、この時に壊されたと言われています。江青という一人の人間の個人的な感情によって、暴力的な政治闘争と粛清の嵐が吹き荒れたとしますと、むしろ、国家を破滅に陥れる愛もあることを、歴史の教訓として強調すべきであったと言えましょう。

 ”愛”によって全ての罪が許されるはずもなく、むしろ、政治的な権力を握る人々の個人的な感情が、国家や国民に悲劇をもたらすことの方がはるかに多いのです。

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