時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

司法

死刑正当防衛権代理執行説-死刑の判断基準にもなる

死刑については、EU等では廃止を加盟条件にするほど厳しく禁止が求められているため、兎角に、非合理的で非人道的な刑罰と見なされがちです。しかしながら、死刑を被害者が行使することができなかった正当防衛権の、公権力による代理行使と見なしますと、極…

舛添知事の調査結果公表-司法の抜け道?

本日、世論の疑惑に応えるべく、舛添東京都知事が任命した弁護士による調査委員会の調査結果が公表されました。舛添知事を交えた調査結果の会見では、”不適切”や”是正が必要”といった言葉はあったものの、違法性は否定されています。 舛添知事は、報告書の”…

高浜原発仮処分への疑問

昨日は、高浜原発に関する大津地裁の仮処分について、司法の越権の観点から記事を書きました。本日は、仮処分の意義から、当問題に迫ってみたいと思います。 裁判所に、何故、仮処分を決定する権限があるのか、と申しますと、その理由は、裁判の正式な判決を…

高浜原発停止の仮処分-司法の越権行為

先日、大津地方裁判所は、高浜原子力発電所の原子炉第3号機と第4号機を停止する仮処分を決定いたしました。原告団を支援する人々の中には、”三権分立が働いた”として絶賛する声も聴かれますが、逆なのではないかと思うのです。 権力分立の意義とは、立法、…

菊池元信者への逆転無罪判決こそ不自然

昨日、都庁郵便物爆発事件で起訴されていた菊池元オウム真理教信者に対し、東京高等裁判所が、裁判員裁判による一審の無罪を覆し、無罪を言い渡すという奇妙な判決がありました。この無罪判決、司法の非常識が際立っております。 報道によりますと、菊池元信…

TPPのISDS条項より怖い最高裁判所の違憲審査

TPPをめぐっては、民間企業に出訴権を認めたISDS条項が、一外国企業の訴えによって国内法の改正が迫られる内政干渉のルートとして懸念されてきました。この懸念については、解決機関の選択肢を広げるといった方法で緩和が図られましたが、国内の最高裁判所…

司法試験漏洩事件-司法の堕落は自己否定

先日、司法試験において、あってはならない事件が発生しました。司法試験の問題作成に当たった考査委員の一人である明治大学法科大学院の教授が、教え子に問題を漏洩したという事件です。 こうした事件が発生しますと、氷山の一角ではないか、と疑われるもの…

高浜原発仮処分-裁判所による行政権の侵害では

昨日、福井地方裁判所は、高浜原発の再稼働について、住民による差し止の申し立てを認める仮処分を決定しました。この地裁の仮処分、権力分立を脅かす、司法権による行政権の侵害なのではないいでしょうか。 再稼働を認めない理由として、福井地裁の樋口裁判…

本当に必要な国民審査では?-中立・公平な司法の命綱

本日の産経新聞の「中高生のための憲法講座」において、「本当は怖い国民審査」という題で、国民審査廃止論が掲載されておりました。果たして、国民審査は、廃止するべきなのでしょうか。 廃止の理由としては、アメリカの制度との比較から、(1)アメリカの…

選挙は最高裁の国民審査にも関心を

来る14日の総選挙では、衆議院選挙と並んで最高裁判所の裁判官についても、国民審査が実施されます。投票を通した政治への参加はもちろんのこと、司法についても、国民が、不適格者を罷免する重要なチャンスです。 一昨日、最高裁判所が示したヘイトスピーチ…

言論弾圧の予感がする最高裁ヘイトスピーチ判決

昨日、最高裁判所が朝鮮学校側の言い分を認めて在特会に対して活動の制限と1200万円あまりの賠償を命じたヘイトスピーチ判決。この法的根拠曖昧な判決には、言論弾圧に繋がるリスクがあります。 少なくとも、最高裁判所は、ヘイトスピーチのどの部分がどの法…

地裁の越権判決―裁判官と市民団体との自作自演?

昨日、福井と横浜の二つの地裁において、驚くべき判決が相次ぎました。裁判所が、法律判断ではなく、専門外であるはずの技術的判断を示すという…。 現行の法律は、原発の安全性の判断に関しては、原子力規制委員会に権限を与えていますので、司法による判断…

非常識すぎる違憲判断―受刑者が裁判員に?

高裁レベルであり、かつ、訴え自体は退けられたものの、”受刑者の投票制限は違憲”との判断が、大阪高等裁判所で示されたそうです。非嫡出子の相続分をめぐる先の最高裁の違憲判断も然ることながら、この判断も、あまりに非常識ではないかと思うのです。 他者…

パチンコ出店訴訟-パチンコ禁止法の制定を

昨日、東京地裁で、不可解な判決が言い渡されました。パチンコ事業者が国分寺市に対して出店妨害を理由に損害賠償を求めた事件において、地裁は、事業者の言い分を認め、3億3千万円の賠償支払いを命じたのです。 この事件、国分寺市駅前にパチンコ事業者の…

衆議院議員選挙無効判決-暴走する司法

昨日、広島高等裁判所が、広島1.2区について違憲の判断を下すと共に、選挙の無効をも言い渡しました。憲法が保障する法の下の平等に反するとして…。 しかしながら、日本国憲法は、選挙権について、”一人一票同価値”を規定しているわけではなく、公職選挙…

在特会メンバー実刑判決-在日韓国・朝鮮人団体の脅しにも実刑を

昨日、「在日特権を許さない市民の会」のメンバーが、韓国人女優をCMに起用したロート製薬に対し、脅迫行為を働いたとして、大阪地裁で実刑判決が言い渡されたそうです。この事件は、どちらかと言いますと、日本側に不利な判決のようにも見えますが、実際…

東京地裁サムスン勝訴―懸念すべき日本の韓国化

本日、東京地裁で、アップル社vs.サムスン社の特許訴訟の判決が下りました。判決内容はと申しますと、サムスンによる特許侵害を一切認めず、サムスン側の全面勝利とのことです。 先日、アメリカのカリフォルニア州連邦地裁で、アップル全面勝訴の評決が下っ…

指揮権発動で政権崩壊のシナリオ

小川前法相の証言により、民主党の小沢元幹事長の陸山会事件に関して、指揮権の発動が検討されたことが明らかとなりました。野田首相がこれを了承せず、結局、指揮権は発動されませんでしたが、もし、発動されたとしましたら、どのような事態が発生したので…

不可解な女児放火殺人再審決定

昨日、大阪地裁において、平成7年に起きた女児放火殺人事件の再審を認めることを決定したとする報道がありました。事件のあらましについては、新聞やテレビの報道だけでは、詳細までは分からないのですが、腑に落ちない点も少なくありません。 再審が認めら…

母性からの死刑廃止論はエゴ

被害者とその遺族の方々の無念な思いが通じたのでしょうか、昨日、光市母子殺害事件の犯人の死刑が確定しました。その一方で、死刑廃止論には、母性からの援護という新たな現象も見られるようにもなりました。 母性からの死刑廃止論とは、自分の子どもが死刑…

あまりに奇妙な小沢事件―隠し録音の謎

検察審査会によって強制起訴された小沢氏。一昨日の東京地裁において、元秘書の石川議員の証言が証拠として採用しないことを決定しましたが、この顛末、今後とも、様々な波紋を呼びそうです。 この事件は、実に奇妙です。もし、起訴内容が事実無根であるなら…

裁判官は国籍条項を撤廃できるのか

先日、福岡高裁で下された判決は、国民の多くを驚かせることになりました。生活保護法では、”国民”と明記してありながら、永住資格を持つ外国人にも生活保護を受給する法的な根拠があると述べたのですから。 この判決において驚愕すべきことは、法的根拠の理…

村木氏が冤罪ではないとすると

本日、野田内閣は、郵便不正事件で起訴された村木厚生労働省元局長について、冤罪ではないとする見解を示したそうです。ところで、冤罪ではないとすると、先の地裁による損害賠償の支払い判決は、妥当であったのでしょうか。 そもそも、この事件には、謎が多…

小沢氏を擁護する人々の不思議

昨日、東京地検が、陸山会事件について秘書3人に有罪判決を言い渡した件について、ネット上では、判決に対する批判の意見が見受けられます。主たる批判点は、裁判官が、秘書の供述調書を証拠として採用しなかったことのようです。 このことをもって、批判す…

那覇検察審査会―国民の良識こそ我が国の砦

昨日、那覇検察審査会において、尖閣諸島沖の衝突事件に際して那覇地検が判断した起訴猶予処分に対し、那覇検察審査会は、「起訴相当」の議決を出したと報じられております。「強制起訴」に至るには、まだステップがありますが、検察審査会の「起訴相当」は…

B型肝炎訴訟和解勧告の不条理

先日、全国で争われているB型肝炎訴訟について、地裁から初めての和解勧告があったとしてニュースで大きく報じられていました。厚労省の試算によりますと、和解金の総額は最大で3兆円を越えると言うことなのですが、この判決、国民にとりましては著しく不条…

千葉前法相の方がはるかに危険であった

柳田法相の辞任をめぐって、政界は紛糾しているようです。しかしながら、はるかに悪質であり、国家にとって危険であったのは、千葉前法相の方ではなかったのかと思うのです。 千葉前法相は、就任直後から、首相や幹事長に司直の手が及ぶのを回避するために指…

千葉景子座長では検察の健全化は無理

民主党政権の人事は、常に国民の常識とは逆です。大阪地検特捜部での捜査資料改竄・隠蔽事件を受けて、「検察のあり方検討会議」が設けられるそうのですが、その座長に、千葉景子氏を据えるというのです。 学生時代に左翼過激派に属し、警察にむかって火炎瓶…

検察への攻撃は全共闘の残滓なのか

本日の日経新聞朝刊の”交友抄”に、元検事の方が、「”革命”時代の論敵」と題する文章を書かれておりました。この文章を読んで、検察が攻撃される理由の一端が分かり、これまでの謎の一部が氷解しました。 元検事の方によりますと、検事志望したことから、全共…

B型肝炎訴訟―原告の要求と国民負担

本日の新聞の紙面に、B型肝炎訴訟についての記事が掲載されており、その和解金の額の高さにいささか驚きを禁じ得ませんでした。政府案で2兆円、原告案では8兆円を超えると言うのです。8兆円ともなれば、国家予算の5分の1ともなり、これは、どう考えま…