時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

B型肝炎訴訟―原告の要求と国民負担

 本日の新聞の紙面に、B型肝炎訴訟についての記事が掲載されており、その和解金の額の高さにいささか驚きを禁じ得ませんでした。政府案で2兆円、原告案では8兆円を超えると言うのです。8兆円ともなれば、国家予算の5分の1ともなり、これは、どう考えましても、行き過ぎに思えるのです。

 原告側は、C型肝炎での和解金の額を基準としているようですが、反対に、C型肝炎の決着額が、異常なまでに支払い額のレベルを引き上げてしまったとも考えられます。確か、水俣病での補償額は、一人当たり500万円程であったと記憶しています。また、肝炎訴訟では、政府の違法性は認められなかったはずですので、政府の責任は、それほどに重いわけでもありません。裁判所からの提案とは言え、和解金の額は、あくまでも政治的なものなのです(司法の政治介入?)。

 とりわけこの和解金支払いの負担が、国民に重くのしかかると言うことも、見落としてはならない点です。巨額の支払いで窮地に立つのは、政府ではなく、国民なのです(国民は、和解金の支払いによる損失の賠償を何処にも求めることができない・・・)。肝炎訴訟に莫大な予算を割いては、他の病気の人々への公的支援のための予算や社会保障費が減額される可能性もあり、しわ寄せが全ての国民に及びます。薬害訴訟の賠償額については、国民負担を考慮した見直しが必要なのではないかと思うのです。

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