時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

司法試験漏洩事件-司法の堕落は自己否定

 先日、司法試験において、あってはならない事件が発生しました。司法試験の問題作成に当たった考査委員の一人である明治大学法科大学院の教授が、教え子に問題を漏洩したという事件です。

 こうした事件が発生しますと、氷山の一角ではないか、と疑われるものですが、最近の法曹界を見ておりますと、裁判官は、司法の中立性の意義さえ理解していないのではないかと、とする疑念も湧いてまいります。中国の抗日戦勝70周年記念行事への藩国連事務総長の出席は、国連の中立性に対する侵害行為として批判を受けましたが、日本国の法曹界もまた、中立性の理解度に関しては、負けず劣らずのようなのです。特定の受験者に対する試験問題の漏洩とは、試験の公平性を失わせ、制度の信頼性を根底から揺るがしかねない大罪です。当教授は、大学より免職処分を受けそうですが、教え子の方も、不正行為に加担したのですから、5年の受験資格停止では甘すぎるぐらいです。5年後に司法試験に合格したとしても、中立・公平に判断すべき裁判官が務まるとも思えません。それとも、法の抜け道を探して犯罪者を全力で庇う悪徳弁護士となるのでしょうか。この事件は、司法の”権威”と将来の法曹界を背負うべき学生の両者において、自己否定ともいうべき腐敗が進行していたことを示しております。

 何れにいたしましても、司法の堕落は、日本社会の堕落に直結します。試験対策は完璧にこなし、司法試験を高得点で合格したとしても、基本的規範への理解が欠如しているのでは、司法の破壊者にしかならないと思うのです。
 
 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。