時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

裁判官は国籍条項を撤廃できるのか

 先日、福岡高裁で下された判決は、国民の多くを驚かせることになりました。生活保護法では、”国民”と明記してありながら、永住資格を持つ外国人にも生活保護を受給する法的な根拠があると述べたのですから。

 この判決において驚愕すべきことは、法的根拠の理由として、裁判官が、他の法律においても国籍条項が撤廃されているのだから、生活保護法でも、当然にそう解釈すべきと説明したことです。全ての法律において国籍条項が撤廃されているわけではありませんし、そもそも、裁判官には、生活保護法の国籍条項を撤廃する権限などないはずです。仮に永住資格をもつ外国人にも受給資格を認めるならば、法律の方を改正する必要があります。

 この裁判における裁判官の権力濫用は、法秩序の維持という観点から見ましても、看過できないのではないでしょうか。裁判官の個人的な見解が独り歩きしますと、民主主義をも踏みにじることになると思うのです。

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