時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

村木氏が冤罪ではないとすると

 本日、野田内閣は、郵便不正事件で起訴された村木厚生労働省元局長について、冤罪ではないとする見解を示したそうです。ところで、冤罪ではないとすると、先の地裁による損害賠償の支払い判決は、妥当であったのでしょうか。

 そもそも、この事件には、謎が多いのですが、冤罪とは、一般的には、無罪の人を有罪とし、刑を科すことを意味しますので、この定義からしますと、村木氏は、冤罪ではないということになります。その一方で、冤罪でもないのに損害賠償だけは認めるとしますと、今後、起訴されたにも拘わらず、無罪判決を受けた人に対しては、同様の損害賠償を払はねばならないことになります。検察の改竄事件が、損害賠償の理由とも考えられますが、村木氏の場合、改竄されたフロッピーは証拠として採用されていないわけですから、起訴そのものと、改竄事件とは、直接的な関係はないはずです。

 この事件、最初から腑に落ちないことばかりが続いています。事件が闇に包まれているとしますと、政治家も、官僚も、検察も、国民からの信頼を喪失することになるのではないかと思うのです。

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