時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

納得できない東住吉事件の再審

 大阪府東住吉区で小学6年生の女子が焼死した保険金殺人事件。有罪判決を受けて服役していた実母と義父(内縁の夫)が再審を訴えてきた事件ですが、今般、大阪地裁の再審で検察が有罪の求刑を見送ったことから、無罪となる可能性が高いと報じられております。

 この事件で不審な点は、まず第一にマスコミによる情報の隠蔽です。当事件は、保険金殺人事件とされてきたように、女子には、保険金が掛けられていました。また、被害者の女子は義父による暴行の被害者でありながら、この点も、マスコミは、積極的に報じようとはしておりません。第二に、義父の証言と実際の火災発生状況が一致しない可能性があるということだけで、必ずしも無実であることが立証されたわけでもありません。仮に、無罪を言い渡されたとしても、”疑わしきは罰せず”に過ぎず、無実であったか否かは不明なのです。ですから、マスコミが、あたかも冤罪の被害者のように扱いことにも疑問があります。マスコミの不自然な態度に加えて、今や、被告側は、警察の取り調べに違法性があったと糾弾しております。母親は、「警察官から『助けられなかったなら殺したのと同じ』と言われ、私が殺したことになるのだと思った。『認めたらすぐに出してやる』と言われ、うなずいてしまった」と自白の理由を警察の誘導と主張しております。しかしながら、この主張、警察が、殺人を認めるように迫ったわけでもなく(見殺しを責めただけ)、かつ、殺人を認めた以上、警察署から出られるはずもないのに、見殺しを否定すれば実際に自分が殺したことになると思い込み、釈放されたい一心で殺害を認めたという、通常あり得ないような支離滅裂な説明なのです。

 再審の判決は、8月10日に言い渡されるそうですが、この事件、殺人を疑われるに十分な状況証拠があり、警察や検察が有罪を求刑し、有罪判決が下されたことにも合理的な理由があります。裁判所には、是非とも、正義の実現をお願いしたいと思うのです。

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