時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

岸田外相訪中-一方的対中優遇は禁物では?

 報道によりますと、中国を訪問した岸田外務大臣は、王毅外相に対し、訪日中国人に対するビザの発給要件の緩和を申し出たそうです。日本国政府のこの決定については、幾つかの重大な問題点があります。

 第一の問題点は、日本国民にとりましては”寝耳に水”であり、少なくとも、国民レベルでは、誰も、政府にこのような措置を頼んでいないことです。折も折、ヨーロッパでは、移民をめぐり社会的亀裂や対立が激化しておりますが、こうした矢先に、日本国政府が、移民の増加に直結する措置を取ることには疑問があります。しかも、中国は、国民に対して反日教育を実施してきた国ですので、反日思想の外国人の増加をも意味します(スパイや工作員が入国しやすくなり、安全保障上にも問題あり…)。経済界が望んでいるとの見解もありますが、中国企業による知的財産権の盗取や中国経済に押されている今では、それも怪しい限りです。

 第二に、政府の一存で、出入国に関する優遇措置を、特定の外国に与えることができるのでしょうか。本来、立法措置を要する重大事ですし、諸外国であれば、国民投票にかけても良いくらいです。ビザの発給要件が、首相や外相の諸外国への訪問に際しても”おみやげ”と化すのでは、先が思いやられます。

 第三の問題点は、この措置が、日本国から中国への一方的な優遇であることです。中国側は、本会談で、日本人に対するビザ発給について、同等の優遇措置を日本国に与えたのでしょうか。歴代中華帝国時代の朝貢でさえ、朝貢品を上回る価値の返答品を返したわけですから、日本国政府による一方的な優遇措置の付与は、朝貢にも劣ります。

 以上に主要な問題点を指摘しましたが、こうした対中特別優遇措置の背景には、日本国も国民も無視し、移民を推進したい海外勢力の意向が働いているように思えます。自民党保守政党という看板には、偽りがあるのではないでしょうか。

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