時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

ヘイトスピーチ法案-妨害デモだけ規制しては?

 ヘイトスピーチ法案の危険性につきまして、本ブログでも、ここ数日、記事を書いてきましたが、本日は、言論の自由を守る立場から、本法案の問題点にアプローチしてみたいと思います。

 ヘイトスピーチ法案については、”米軍は出ていけ”も規制の対象となるということで、保守派の中でも、賛成に回られる方もおられるようです。しかしながら、在日米軍の問題にせよ、在日韓国・朝鮮人の問題にせよ、政策的な内容を含む発言が規制の対象となりますと、外国人が関連する政策議論が抑圧される結果を招きます。この問題は、日本国の言論空間の危機でもありますので、一面だけから判断しますと、後世に禍根を残すことになりましょう。そこで、本問題について、規制賛成派も納得させる解決策があるとしますと、それは、直接的、かつ、妨害的なデモや街宣活動だけを規制するというものです。先日、朝鮮学校に対するヘイトスピーチについて、裁判所が、在特会に対して賠償等を命じておりましたが、政策要求であるならば、デモで訴える相手は、政府や一般の国民であるはずです。また、米軍基地の周辺でシュプレヒコールを上げている”市民団体”の行動も、その訴える先は、米軍ではなく、政府や一般の国民であるはずです。こうした直接的なデモや街宣活動は、米軍にとりましては”公務妨害”であり、朝鮮学校でも”授業妨害”となりますので、こうした”妨害”行為だけを取り締まることができれば、何らの問題もないはずなのです。

 現状では、おそらく、地方自治体、あるいは、警察が、こうしたデモや街宣活動の許可を出しているのでしょうが、法規制を検討するならば、許可権限を持つ行政を対象とし、妨害的な内容のスピーチが予定されているケースについてのみ規制すべきではないでしょうか。言論の自由は、失われてからでは時すでに遅し、となるのですから。

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