時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

疑問に満ちたヘイトスピーチ法案-”著しい侮辱”とは?

 国民の多くが、言論の自由に鑑みて、ヘイトスピーチ法案には反対なはずなのですが、何故か、政界だけは、この法案の成立に熱心です。焦りさえ感じさせるのですが、一体、何が、彼らを駆り立てているのでしょうか。

 報道によりますと、自公が提出を予定していた法案については、野党側との間に修正に関する合意が成立したことが、可決の可能性を高めたそうです。修正案では、刑法上の罪にあたる行為の他に、「著しく侮辱する言動」が加えられたそうですが、一体、誰が、「著しく侮辱する言動」と判断するのでしょうか。この修正の表現では、あまりに抽象的であり、国民の多くが戸惑うことでしょう。この法案の主たる対象である在日韓国・北朝鮮系の人々の主観によって判断されたのでは、事実を指摘しただけでも、著しい侮辱として訴えられる可能性さえあります。先日も、韓国の朴大統領が、慰安婦像について事実と異なる発言をしておりましたが、慰安婦問題に限らず、”歴史問題”については、韓国側の捏造は目に余るものがあります。また、北朝鮮金正恩氏は、国際法違反を繰り返すのみならず、国際刑事裁判所の被告人になる可能性もあります。”嘘をつくな”は正当なる道徳的な要求ですし、”無法者”とか、”ならず者”といった表現も、れっきとした根拠があるのですが、こうした正当な批判まで、ヘイトスピーチと認定されるのでしょうか。”密入国者は帰れ”も、実のところ、出入国管理法に則った発言なのです。人権擁護法案でも問題視されましたが、恣意的な法の解釈や運用は、自由な言論空間を圧迫するどころか、悪事や犯罪を擁護しかねないのです。

 罰則規定は設けられてはいないとはいえ、言論の統制、しかも、外国人の主観による一方的な取り締まりとなり得る法案には、国民の多くは反対しているはずです。発言をチェックされて、不快に感じない人はいません。況してや、法令に触れるともなりますと、皆が神経質になり、自由な政策議論さえも萎縮させてしまう怖れもあります(これが真の目的?)。それとも、この法案は、デモや街宣活動に限定して適用されるのでしょうか。何れにしましても、リスクが高すぎますので、政治家は、国民が望んでいない法律は、制定すべきではないと思うのです。

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