時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

憲法改正案が時代遅れに?

 世論調査によりますと、憲法改正に賛成する割合は、反対派を下回っているそうです。数年前の調査では、改憲派が多数派でしたので、何時の間にか、賛否が逆転してしまったようです。

 その理由については、集団的自衛権の行使が容認され、今般の安保関連法案が成立したことにより、憲法を改正を経ずとも、ある程度、時代の要請に合わせることができたから、とする見解もあります。その一方で、自民党憲法改正案にも問題がないわけではないと思うのです。と申しますのは、自民党は、憲法制定以来、凡そ70年にわたって自主憲法の制定を訴えてきたため、改正案自体が、いささか時代遅れになってしまった観があるのです。憲法改正とは、歴史や伝統に裏打ちされた国柄を継承しつつ、人類が積み上げてきた統治に関する知恵や知識を活かし、より良き国造りに貢献するための発展的な作業であるはずです。しかしながら、長い間懐で温めてきたため、改正案が、既に、時代や国民感覚と齟齬を来しているように感じられるのです。例えば、第1条の天皇に関しましては、改正案は昭和天皇を想定したものと推測され、元首化とは申しましても、19世紀調の響きがあり、今般の皇室と国際社会を考慮すれば、どこかで何かが違っているように思えます。

 憲法改正案に、こうした違和感を覚える国民も少なくないと考えられるのですが、いかがでしょうか。憲法を改正する以上、やはり、国民の多くが、日本国が、将来に向けてより良き国となることを確信させるような改正案であることを願うのです。
 
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