時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

憲法

憲法改正案が時代遅れに?

世論調査によりますと、憲法改正に賛成する割合は、反対派を下回っているそうです。数年前の調査では、改憲派が多数派でしたので、何時の間にか、賛否が逆転してしまったようです。 その理由については、集団的自衛権の行使が容認され、今般の安保関連法案が…

改憲は国民に訴えてこそ

憲法改正について、安倍首相は、”現実的な段階に移ってきた”として、並々ならぬ意欲を見せているそうです。しかしながら、不思議に感じることは、何故、国民に対してその必要性を直接、かつ、率直に訴えようとしないのか、ということです。 報じられるところ…

安保法案違憲論者は共産主義の”隠れた同志”?

安保法案については、特に憲法学者を中心に反対論が強いようです。安保法案は違憲、と断定して…。 安保法案違憲論者として知られる木村草太氏も、ダイヤモンド・オンラインにおいて、法案の内容を説明しながら違憲論を張っておりますが、その論証方法には、…

簡単そうで怖ろしい違憲論者の”身近な説明”

今国会で審議されている安保法案は、説明が難解で複雑なところが、国民からの理解を得られない理由の一つとして指摘されております。その一方で、簡単そうで恐ろしいのが、芸能界の”恋愛禁止”を引き合いに出した”身近な説明”です。 集団的自衛権を違憲とする…

イラク戦争は集団的自衛権の必要性を示す事例

憲法第9条につきましては、最近、集団的自衛権まで、違憲として否定する意見が散見されるようになりました。かなり過激な方向に進んでおりますが、その論拠として、しばしばイラク戦争が挙げられております。日本国が、アメリカの戦争に加担する、として…。…

合憲論が憲法学の主流であったのでは?

安保法案をめぐっては、憲法学者の間では違憲論が主流なそうです。違憲論者の中には、合憲論を見つけるのは、ネッシーの発見と同じくらい不可能であると主張する方もおります。 憲法学のテキストによれば、第9条1項に対する解釈は、大きく分けてA説とB説が…

安保法案違憲論-政府解釈から判断すべきでは?

安保法案に関する衆議院の憲法審査会に参考人として招かれた憲法学者の方々は、口を揃えて”違憲”との判断を示しております。しかしながら、この違憲判断、自らが設定した特定の憲法解釈に基づくものに過ぎないことは、昨日の記事で説明いたしました。 ところ…

安保法案違憲論の不誠実-特定の解釈支持なのでは?

衆議院憲法審査会に招かれた三名の参考人をはじめ、憲法学者の方々が、相次いで安保法案を”違憲”と断言したことで、当法案の行くへには不透明感が漂うようになりました。ところで、この憲法学者による”違憲判定”、国民に対して不誠実ではないかと思うのです。…

ポツダム宣言よりサンフランシスコ講和条約を知るべきでは

昨日の記事では、ポツダム宣言には、戦後の日本国の防衛や安全保障に関する要求もなければ、日本国憲法第9条についての記述もないことを指摘しました。ポツダム宣言を盾に安保法制に反対する人々に対しては、サンフランシスコ講和条約(日本国との平和条約…

憲法改正の議論-国民発案の勧め

昨日は、第9条の改正とセットとすべきは国民の参政権拡大ではないか、とする記事を掲載したのですが、本日は、最初の一歩として、国民発案の導入を提起したいと思います。 直接民主主義の手法としては、国民投票といった直接に国民が政治意思決定や法案の可…

憲法第九条改正と国民の参政権強化はセットに

世論調査などの結果によりますと、憲法改正を支持する回答の率は、数年前よりも減少傾向にあり、国民的な改正機運はそこまでは高まっていないそうです。世論調査の対象に偏りがある可能性もありますが、国民的な議論を興すには、どうしたらよいのでしょうか。…

改憲しても平和憲法では?

憲法改正については、護憲論者の人々は、”守ろう平和憲法”をスローガンに掲げて憲法改正に強硬に反対しております。しかしながら、このスローガンには、素朴な疑問があります。 素朴な疑問とは、改憲すると、何故、平和憲法ではなくなるのか、全く説明してい…

”戦争のできる国”論のミスリード

現在、日米同盟を強化すべく、安保法制の整備が進められております。憲法改正も視野に入ってきたことから、一連の動きについて、日本国は、戦前のように”戦争のできる国”になる、とする批判の声も少なくありません。 しかしながら、”戦争のできる国論”、すな…

護憲論者こそ反平和主義者では

昨日は、憲法第9条は、”安全神話”ではないのか、とする記事を書きましたが、本日は、護憲論者の理想論は既に崩壊している点について問題提起したいと思います。 護憲論者の論理によれば、憲法第9条の保持こそが、平和の前提条件となります。憲法第9条がな…

憲法第9条も”安全神話”では

東日本大震災に際して、福島第一原発の事故が発生しましたが、この時、左翼系の人々は、原発の”安全神話”を散々批判しておりました。絶対に安全であり得るはずがないのに、事故対策を怠ったとして…。 世の中には”絶対に安全”というものはほとんど存在しない…

憲法改正で国民発案の導入を-届かない国民の声問題

憲法改正については、既に与党自民党が憲法草案を作成しており、今後の憲法改正に際しては、優先度の高い順に、当草案から改正案が提出される模様です。憲法第9条は後回しとも報じられておりますが、草案には記載がないものの、是非、憲法改正で導入してい…

東京都の外務局は憲法違反では-二重外交のリスク

本日の産経深部の2面に、我が目を疑うような記事が掲載されておりました。東京都が、都市間外交を強化するために新たな局を設置し、外務長の人事までもが発表されたというのです。 日本国憲法の第73条の二には、内閣の事務として「外交関係を処理すること。…

集団的自衛権行使の世論調査―反韓が原因では?

世論調査の結果によりますと、集団的自衛権の行使に賛成するパーセンテージが、前回と比較して軒並み低下していると報じられています。低下の原因は、第二次朝鮮戦争にあるのではないかと思うのです。 近年、韓国政府が反日政策と日本国に対する嫌がらせを激…

誤解の伝言ゲームとなった麻生氏の発言

”ナチスの手口に学んでどうか”とする麻生氏の討論会での発言が、内外で波紋を広げているようです。麻生氏が、ナチスを礼賛したかのように報じられていますが、この発言、誤解の伝言ゲームなのではないかと思うのです。 最初の誤認は、”誰も気づかないで変わ…

平和憲法は”褒め殺し”?

参議院選挙の投票日が迫る中、憲法第9条の改正問題も、争点として議論の俎上に上るようになりました。野党左派勢力は、”平和憲法を守れ”と、改憲反対のシュプレヒコールを上げています。 護憲論者の多くは、高い倫理性と武力を使わない理性的な紛争解決を目…

命を捨てても憲法第9条を護る?

憲法改正反対論者の人々は、憲法第9条がなくなれば、日本国は戦争ができる国になり、子ども達も戦場に行かされると訴えています。”私達は、子ども達の命を守らなければならない”と、声を張り上げているのです。 一見、”命の大切さ”を訴える善意の主張に聞こ…

”九条信者”は知的惰性-安全とは平和のこと

日本国憲法が制定されて以来、日本国には、「九条信者」と呼ばれる活動家の人々が、護憲運動を展開してきました。「九条信者」の人々は、憲法第9条さえ護持してゆけば、自ずと平和が訪れると信じ込んでいます。 憲法第9条の精神とは、軍事力を放棄=平和の…

集団的自衛権と国軍―国家の基本権

左翼の人々は、人権の擁護に熱心であり、平等という価値にも敏感に反応します。僅かたりとも、基本権の侵害があってはならず、平等に反する行為は絶対に許さない、とばかりに。ところが、国家レベルにこれを当て嵌めますと、全く、逆の主張をしているのです。…

自民党の憲法改正案―疑問な個人情報保護条項

本日、新聞の紙面に、自民党の憲法改正案の要旨が掲載されておりました。自民党が、本格的に憲法改正に取り組み始めたことが伺えるのですが、この草案にも幾つかの論点や問題点がありますし、積み残してしまった課題もあるようです。 その一つが、第19条に、…

子ども手当―憲法訴訟という方法

先日、アメリカでは、医療保険法の僅差での成立を受けて、反対派の人々は、憲法違反として提訴する構えと報じられています。子ども手当法についても、充分に憲法訴訟になり得ると思われるのです。 裁判所には違憲審査の権限が付与されており、国会が制定した…

朝鮮学校は”治外法権”か

朝鮮学校を無償化の対象とするか否かについては、夏以降に結論を出すと報じられています。この問題、日本国の主権問題でもあると思うのです。 何故ならば、朝鮮学校問題は、我が国の国内で、日本国憲法が認める価値観を否定する教育を施すことは許されるのか…

憲法を守りすぎて制度疲労を起こした日本国

戦後一貫して、護憲運動とは、憲法第9条を守ることで、戦前の体制への回帰を止めることに主眼が置かれていました。つまり、過去へ戻ることを阻止することに、主たる目的があったのです。しかしながら、その一方で、護憲運動は、日本国の統治システムが前に…

国籍法改正案―婚外子問題と外国人差別の混乱

国籍法改正案の根拠となった最高裁判所の判決は、嫡出子と婚外子との平等化を理由として、違憲の判断を示しました。しかしながら、どうやら、この判決には、婚外子差別と外国人差別との混乱があるようなのです。 1. そもそも、日本国の民法では、婚外子は…

憲法第9条:一国だけの不戦条約

日経新聞では、最近、東京裁判を検証するシリーズを掲載しており、その中で、日本国憲法の第9条は、1928年に調印された不戦条約がモデルであったという解説がありました。不戦条約の第一条では、国際紛争の解決手段としての戦争の放棄を宣言しています。…

人権擁護法案は憲法第35条違反

人権擁護法案については、国民の言論や表現の自由の侵害など、様々な観点から憲法違反が疑われていますが、その一つに、住居の不可侵を定めた第35条違反も加えることができるのではないか、と思うのです。 憲法第35条2項では、以下のように述べています…