時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

安保法案違憲論者は共産主義の”隠れた同志”?

 安保法案については、特に憲法学者を中心に反対論が強いようです。安保法案は違憲、と断定して…。

 安保法案違憲論者として知られる木村草太氏も、ダイヤモンド・オンラインにおいて、法案の内容を説明しながら違憲論を張っておりますが、その論証方法には、疑問を抱かざるを得ません。何故ならば、結論への導き方が非論理的なのです。氏は、「今回の論点は第一に、安保法制が違憲かどうかということです。これについては、憲法学者のほとんどが違憲だとしており、世論調査を見ても過半数の国民が違憲だと思っています。よって、「安保法制は違憲」ということで決着がつきました。」と述べ、違憲と結論付ける根拠として、違憲論の憲法学者の数の多さとと世論調査での過半数を越える違憲支持を挙げております。しかしながら、この根拠、あくまでも憲法学者の個人的見解の集まりに過ぎず、世論調査も、その信頼性の欠如は多方面から指摘されております。憲法学者世論調査のみで”決着”を付けるとなりますと、それはあまりにも乱暴であり、統治制度としての立法手続きをも無視しております。少なくとも、立証可能な確固たる根拠に基づいて”違憲”=廃案と結論付けているわけではありませんので、”決着”を一方的に宣言されましても、違和感と傲慢さを覚えるのみです。憲法解釈には、絶対的なものは存在せず、あるとすれば、解釈権を持つ機関の判断です。法案提出権を持つ政府には当然に解釈権がありますし、最終的には、憲法訴訟がなされた場合、最高裁判所違憲審査権に付されることになりましょう。もっとも、後者の場合でも、安全保障の分野では、統治に責任を負う政府の判断が優先されますので(統治行為論)、司法判断は見送られる可能性も高いのです。

 安全保障上の必要性を抜きにした違憲論は、結局は、中国を利すための知的誘導戦術なのかもしれません。そうであるとしますと、安保関連法案を戦争法案として批判している人々こそ、知的フィールドに放たれた共産主義者の”隠れた同志”なのではないかと思うのです。

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