時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

改憲は国民に訴えてこそ

 憲法改正について、安倍首相は、”現実的な段階に移ってきた”として、並々ならぬ意欲を見せているそうです。しかしながら、不思議に感じることは、何故、国民に対してその必要性を直接、かつ、率直に訴えようとしないのか、ということです。

 報じられるところによりますと、憲法改正については、野党の協力相手としておおさか維新の会の名が挙がっております。憲法改正の発議には、各議院の総議員の三分の二賛成を要しますので、国会対策は必要なのでしょう。しかしながら、発議のみで改正が実現するわけではなく、最も重要な手続きは、国民投票です。国民投票において過半数の賛成を得なければ、憲法改正は実現しないのです。この点を考慮しますと、国会議員に対する働きかけ以上に、国民に対して憲法改正が今日必要とされる理由を十分に説明し、理解を得る必要があります。特に、憲法改正については、第9条問題もあって、一種の”アレルギー反応”を示す国民も少なくなく、国会での発議には至っても、国民投票で承認を得られない場合もあり得ないわけではありません。

 憲法改正が、改悪とはならず、国民により良き国家の実現を約束することこそ、重要です。今後、最も努力を傾けるべきは、国民の関心を高め、個別具体的な憲法改正点について、活発な議論を引き出すことではないかと思うのです。

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