時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

AIIBでの日本企業のインフラ受注は無理

 中国主導の下、鳴り物入りで登場したAIIB。予定通りに発足したものの、その行く先には暗雲が立ち込めています。

 日米ともに、AIIBへの参加は見送りましたが、報道によりますと、日本企業のインフラ受注のチャンスを失うとして、アジア開発銀行との共同融資も検討されているそうです。しかしながら、そもそも、AIIBの設立目的が、中国の国内経済事情にあるとしますと、日本企業が、AIIBの融資プロジェクトで受注できる可能性は、ゼロに近いと言わざるを得ません。もとより、麻生財務相の説明よれば、アジア開発銀行の事業でさえ日本企業の受注率は0.5%程なそうですが、AIIBは、生産過剰のために中国国内で在庫となっている建設資材のはけ口であり、かつ、景気減速で増加傾向にある失業者対策でもあります。中国の目的が”自国救済”、あるいは、”一帯一路構想”という名の中国の夢である限り、日本企業にチャンスを提供するとは思えないのです。

 仮に、中国が、なおも日米の参加に期待しているとしますと、それは、資金調達のための勧誘ということになりましょう。しかも、採算性を度外視した融資が行われるとしますと、将来的には、”損失のシェア”のシナリオも見えてきます。AIIBについては、距離を置く方が賢明ではないかと思うのです。

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