時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

集団的自衛権と国軍―国家の基本権

 左翼の人々は、人権の擁護に熱心であり、平等という価値にも敏感に反応します。僅かたりとも、基本権の侵害があってはならず、平等に反する行為は絶対に許さない、とばかりに。ところが、国家レベルにこれを当て嵌めますと、全く、逆の主張をしているのです。

 選挙に際して、自民党は、政策方針として集団的自衛権行使の容認や自衛隊の国軍化を掲げるそうです。左派政党は、こぞって反対の立場を表明していますが、考えても見ますと、これらの措置は、国家であれば、当然認められるべき基本的な権利でもあります。集団的自衛権の行使が認められませんと、同盟政策を追求することは不可能となりますし、国軍を保有していなければ、自衛さえも危うくなります。自国の存亡にかかわる権利、すなわち、人権に譬えるならば、いわば、命に関わる最も基本的な権利なのですから、その権利に制約を課すことは、自ら正当な権利を放棄し、不平等な立場に置くようなものです。国際法では、講和条約の締結後は、完全に主権を回復することができるとされており、日本国もまた、サンフランシスコ講和条約の締結後は、不平等状態を回復する権利があります。過去の歴史では、戦争捕虜は奴隷や劣等市民とされましたが、主権の完全回復を否定しますと、これと同じことを、現代において国レベルで容認することになるのです。

 このように考えますと、集団的自衛権の行使を認め、国軍を保有することは、むしろ、現代の国際法が認める主権平等の原則には合致していると思うのです。

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