時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

憲法第九条改正と国民の参政権強化はセットに

 世論調査などの結果によりますと、憲法改正を支持する回答の率は、数年前よりも減少傾向にあり、国民的な改正機運はそこまでは高まっていないそうです。世論調査の対象に偏りがある可能性もありますが、国民的な議論を興すには、どうしたらよいのでしょうか。

 与党自民党の改正案などを見ましても、天皇の元首化に関する改正は明記されてはいても、国民の参政権の範囲に関しては著しい変化はないようです。近年の天皇家の変わり様を考慮しますと、元首化に賛成する国民がそれほどに多いとも思えず(天皇家の政治への接近はあらゆる面で危険性を孕む…)、改憲にとりましてはマイナスに作用しているかもしれません。憲法に対する国民的な関心を集めるためには、むしろ、国民の参政権の範囲拡大を打ち出す方が、よほど効果的です。例えば、一部であれ、国民投票、国民発案、リコール…などの制度の導入が改正案として提案されれば、国民の当事者意識が高まり、自ずと関心が政治に向かうはずです。

 第9条の改正に反対する人々は、”政府によって戦争に行かされる”と訴えていますが、参政権の強化がセットとなれば、国民の国に対する責任感も高まることでしょう。衆愚政治を懸念する声もあるかと思いますが、政治家の方がよほど売国的であるケースもあるのですから、日本国の最後の砦こそ国民ではないかと思うのです。

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