時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

憲法を守りすぎて制度疲労を起こした日本国

 戦後一貫して、護憲運動とは、憲法第9条を守ることで、戦前の体制への回帰を止めることに主眼が置かれていました。つまり、過去へ戻ることを阻止することに、主たる目的があったのです。しかしながら、その一方で、護憲運動は、日本国の統治システムが前に進むことをも止めてしまいました。

 現在、我が国が直面している政治的な混乱は、戦後半世紀以上にもわたって、統治制度を改良することを怠ってきたことに原因があるのではないかと思うのです。統治や政治とは、生きている人間が関わることですので不変であるはずもなく、常に時代や状況の変化に対応しなければ、現実との間に齟齬をきたします。如何なる制度やシステムも、改良や改善が加えられなくては、そのまま朽ち果てるか、制度疲労を起こしてしまうのです。

 共産主義に縛られた中国の時代遅れな行動が、内外に混乱をもたらしているように、時代の変化に柔軟に対応できない状況は、致命的な痛手となるかもしれません。日本国が時代とともに歩むためには、小手先の改革ではなく、憲法改正を見据えた国民的な議論を展開してゆくべきと思うのです。

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