時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

衆議院議員選挙無効判決-暴走する司法

 昨日、広島高等裁判所が、広島1.2区について違憲の判断を下すと共に、選挙の無効をも言い渡しました。憲法が保障する法の下の平等に反するとして…。

 しかしながら、日本国憲法は、選挙権について、”一人一票同価値”を規定しているわけではなく、公職選挙法においても同様です。今回の違憲判決の根拠となる条文は、憲法第一四条なのでしょうが、この条文に定める法の下の平等とは、どちらかと申しますと、差別や特権の禁止に重点が置かれています。つまり、如何なる差別もなく、全ての国民には”一人一票”を持つ権利は保障されていると解されますが、”同価値”にまでは言及していないのです。その理由は、日本国の参議院にも見られるように、”一人一票同価値”を厳密に適用しようとすれば、地方といった様々な枠組みの代表を政治の場に送り出すことはできなくなるからです(例えば、連邦制を採用している国では、人口規模に拘わらず、各州の議席数は同数…)。この側面から考えますと、一票の格差の許容範囲の決定は、あくまでも立法が担うべき事項であり、司法が、自らで基準を決定し、それを政治に押し付ける行為は、司法権の濫用ではないかと思うのです。

 しかも、先の衆議院選挙の無効を政治的に訴えている政党もあり、裁判所の判決が、特定の政治勢力に利用される怖れもあります。こうした権力分立をも崩しかねない司法の暴走には、歯止めをかけるべきではないかと思うのです(最高裁の常識的な判断が待たれるところです…)。

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