時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

高浜原発仮処分-裁判所による行政権の侵害では

 昨日、福井地方裁判所は、高浜原発の再稼働について、住民による差し止の申し立てを認める仮処分を決定しました。この地裁の仮処分、権力分立を脅かす、司法権による行政権の侵害なのではないいでしょうか。

 再稼働を認めない理由として、福井地裁の樋口裁判長は、原子力規制委員会の新基準を挙げ、この基準では、安全性が確保できないとしました。いわば、裁判所が、原発の安全性に関する技術的な判断を下したことになりますが、この司法の行為、おかしくないでしょうか?何故ならば、司法の役割は、法律上の争いを法に照らして解決することであり、技術的な問題を判断する権限はないからです。しかも、法律は、原発の安全性に関する基準を制定する権限を原子力規制委員会に与えております…)。つまり、裁判所には、新基準が法律に従って合法的に制定されたか、否かを審査する権限はあっても、制定された基準の内容にまで踏み込むことはできないはずなのです(裁判所が、法律で認められている行政機関の権限を否定している…)。仮に、このような仮処分がまかり通るならば、裁判所は、あらゆる行政による決定を止めることが許されることになります(司法の暴走…)。

 福井地裁が、自らが法に反し、権力分立を破壊していることに気が付いていないとしますと、日本国の司法の現状は危ういと言わざるを得ないと思うのです。

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