時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

死刑正当防衛権代理執行説-死刑の判断基準にもなる

 死刑については、EU等では廃止を加盟条件にするほど厳しく禁止が求められているため、兎角に、非合理的で非人道的な刑罰と見なされがちです。しかしながら、死刑を被害者が行使することができなかった正当防衛権の、公権力による代理行使と見なしますと、極めて合理的で公平な刑罰でもあります。

 死刑を正当防衛権の代理執行と見なしますと、この基準は、死刑の判断基準ともなります。被害者にまったく落ち度がなく、加害者が、自らの私的な目的や利益の為に殺人を実行した場合には、死刑は正当化されます。無差別殺人やテロは、この点に鑑みて、死刑と判断されます。死刑を廃止した諸国でも、テロ実行犯に対しては、即、射殺という厳しい措置を採っておりますが、この行為も、この基準に照らしますと是認されます。一方、被害者が、加害者に対して何らかの害を与えていた場合、例えば、加害者の弱みを握って脅迫をしていたり、あるいは、執拗に虐めを繰り返していたといった事情がある場合には、被害者側にも加害性が認められるために、被害者側の正当防衛権は成り立ちません。また、被害者に対する介護が過酷な重労働となり、加害者が心身ともに衰弱してしまった末に絶望から被害者を殺めてしまった場合なども、情状酌量の余地があります。

 死刑廃止の最大の理由は、冤罪による死刑ですが、犯罪捜査の技術が飛躍的に進歩した今日では、動かぬ証拠を以って犯罪を立証することもできます。一人一人の命が等しく尊いからこそ、自らの死を以って償う死刑制度は存続すべきなのではないかと思うのです。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。