時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

母性からの死刑廃止論はエゴ

 被害者とその遺族の方々の無念な思いが通じたのでしょうか、昨日、光市母子殺害事件の犯人の死刑が確定しました。その一方で、死刑廃止論には、母性からの援護という新たな現象も見られるようにもなりました。

 母性からの死刑廃止論とは、自分の子どもが死刑になることを想定すれば、母として子を守りたいのが自然な心情であり、子の命を奪う死刑は廃止すべき、というものです。しかしながら、この擁護論ほど、エゴイスティックな主張はなく、また、日本国の伝統的な考え方とは異なるのではないかと思うのです。光市の事件にしましても、犯人は、母親とまだ赤ちゃんである幼子の命を同時に奪っております。被害者にも親があるのですから、”自分の子供だけは、刑罰であれ、殺されたくない”という主張は、あまりに利己的です。また、古来の日本人の考え方では、殺人を犯した子どもに対しては、”死んでお詫びをせよ”あるいは、親として責任を痛感し、”親である私も、一緒に死にます”のどちらかではなかと思うのです。間違っても、”死刑の方を廃止せよ”とは言わないのではないでしょうか。

 母性からの死刑廃止論には、モンスター・ペアレントに通じる現代の病理が見え隠れしています。被害者に対する母親側の思いやりの欠如と無責任さが、他者の命を利己的な理由で奪う子どもを生み出しているのかもしれないと思うのです。

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