時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

千葉法相の死刑執行は政治利用

 西欧諸国で死刑が廃止されている背景の一つには、政敵の排除といった政治的な理由によって死刑制度が利用されてきたという暗い歴史があります。筋金入りの死刑廃止論者であるはずの千葉法相が、死刑執行に及んだ背景にも、政治的な理由があったとしますと、これもまた、死刑の政治利用ということができます。

 もし、大臣就任時から、千葉法相が、持論は脇においても、一貫して法務大臣として死刑を執行してきたとしたならば、これほどの非難を浴びることはなかったことでしょう。参議院選挙で落選した途端、前言を取り消して死刑を執行したがために、政治的な思惑を疑われることになったのです。つまり、自らへの非難をかわすための、自己保身を狙った政治的なパフォーマンスであったという。

 これでは、千葉法相の死刑廃止論が、如何に底の浅いものであったのか、自ら暴露したようなものです。死刑廃止論者が非難する政治的死刑執行を、当の死刑廃止論者が行ったのですから。たとえ、それが法相の弁解するように、死刑廃止の議論を深めるためであったとしても、死刑制度の政治利用は、千葉法相の内面に潜む冷酷さと自己矛盾を、国民に印象付けることになったのではないでしょうか。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。
<a href="https://blog.with2.net/in.php?626231">人気ブログランキングへ</a>