時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

政治学

”政治主導”=”民主主義”ではない

民主党政権の”政治主導”の実態が”小沢主導”であることが判明し、国民多数の失望を招いているようです。”政治主導”という言葉は、”官僚主導”への非難を込めた表現なのでしょうが、決して、民主主義や国民主導を意味しないと思うのです。 何故ならば、”政治主…

国籍法改正で融解する国民?

国民とは、領域や主権と並んで、国家を構成する要件と言われています。その国民の枠組みが、大きく変化するのですから、国家そのものに影響がないはずはありません。 世界中で二重国籍を認める国が増加するとしますと、やがて、二重どころか、多重国籍者が出…

格差是正より公平な評価を

現在、”格差是正”は、どの政党も、国民の注目を集めるため政治的なスローガンとして掲げています。しかしながら、”格差”の対象を限定した上で、是正手法を慎重に検討しませんと、個々人の顔がない”均質化社会”を招いてしまうと思うのです。 そもそも、格差是…

忘れられた”少年よ、大志を抱け”の精神

NPOのアンケート調査によりますと、「日本を良くするために政府に期待する役割」という問いに対して、「富裕層や大企業の税金を重くし、貧困層や中小企業の税金を軽くする」および「社会的弱者に扶助を与える」という回答が4割を超えたと言います。これは、…

政治と宗教は両立し難い

政教分離の原則は、日本国憲法にも定められている原則ですが、政治と宗教を分離させたことには、それなりの理由があります。幾つもある理由の中で、本日は、政治と宗教がどうしても両立しない場合があることについて考えてみようと思います。 政治と宗教は、…

政治は時代とともに歩むもの

今年もまた、昨年に引き続き、日本国においても、様々な分野に変化の波が押し寄せてきそうです。政治の世界もまた、こうした変化を免れることはできないことでしょう。 そもそも、政治とは時代とともに歩むものです。その時代その時代におきまして、抱える課…

左翼思想が説得力を失った理由

戦前戦後を通して、多くの知識人が共産主義や社会主義に理想を求め、革命運動に身を投じることになりました。そうして、左翼こそが進歩的な思想であり、時代の先端をゆくものと主張したのです。 しかしながら、現在に至って明らかになったことは、左翼の思想…

法は自由のためにある

規則やルールは、とかくに、人々の自由を縛るものとして嫌われがちです。規則やルールは、権力者が勝手につくったのだから要らない、という主張もよく耳にします。こうした考えに基づきますと、法と自由は両立しないことになるのですが、本当は、法がないと…

格差にも良い面がある

近年、中央と地方、大企業と中小企業、正社員と非正社員…との間の格差が、政治的な課題として議論の俎上に上ってきています。ところで、格差は全て否定されるものでもなく、許容されるべき、あるいは、社会に有益な格差もあるのではないか、と思うのです。 …

日本国の保守主義の二つの流れ

実際には、かなりの相違がありながら、おなじ範疇に一緒くたにされていることは少なくありません。例えば、現在の日本国の保守主義の系譜にも、二つの流れがあるように思うのです。 第一の系譜は、大日本帝国憲法の時代に理想を求め、この時代への回帰をもっ…

悪者にされたナショナリズム

とかくに、わが国では、ナショナリズムという言葉を聞いただけで、眉をひそめる人が少なくありません。しかしながら、ナショナリズムには、良い作用もありますので、否定的な側面ばかりを強調してはならないと思うのです。 ナショナリズムの良い面とは、第1…

統治学の再構築

学問と実践との理論的な繋がりを築くために、政治を含めたより広い”統治”という視点から、政治学の再構築を試みてみました。これを、統治学と呼ぶことにしました。 統治学の基本は、統治の役割を、その本質に即して”戦略的意思決定”、”内部調整”、”秩序維持”…

政治の原点への回帰

これまで、統治や政治を語る時には、しばしば、支配する者と支配される者、あるいは、持つ者と持たざる者との二項対立的な構図として描かれてきました。このため、政治は、何か人を不幸にするもの、抑圧するものとして人々から嫌われることは珍しくなかった…