時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

政治の原点への回帰

 これまで、統治や政治を語る時には、しばしば、支配する者と支配される者、あるいは、持つ者と持たざる者との二項対立的な構図として描かれてきました。このため、政治は、何か人を不幸にするもの、抑圧するものとして人々から嫌われることは珍しくなかったのです。政治の舞台となる国家もまたしかりです。人類が努力を積み重ねた結果、民主主義や自由が広がるようになった現在においてさえ、政治に対して全幅の信頼を置いている人々は、そう多くはないのです。
 かくも長い間、政治や統治が嫌われ者であり続け、人々の不満の対象であったことには、何か、根本的な原因がありそうです。そうして、ここ何百年あるいは何千年もの長い間、人類は、統治や政治について、何か大切なことを遠く彼方の時代に置き忘れてきたように思うのです。それは一体何なのでしょうか?
 この人類の忘れものとは、本当は、とても単純なことなのかもしれません。それは、統治や政治の権力とは、人々のためにこそある、ということです。政治や統治の原風景にあったこの基本原則にこそ、現代の政治が再生に向かい、その存在が、人々に益をもたらすものとなる鍵が隠されているように思えるのです。
 本ブログは、こうした視点から、現在、私たちが抱えている様々な問題について、論じてゆくために、開設されました。