時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

格差にも良い面がある

 近年、中央と地方、大企業と中小企業、正社員と非正社員…との間の格差が、政治的な課題として議論の俎上に上ってきています。ところで、格差は全て否定されるものでもなく、許容されるべき、あるいは、社会に有益な格差もあるのではないか、と思うのです。

 許容されるべき格差とは、それが、人並み以上の努力や適正・能力から生じている場合です。絶対的な平等主義者の立場からは、こうした格差も否定されることになるのでしょうが、反対に、もし、努力や才能が何らの評価も受けない、ということになりますと、これもまたアン・フェアで停滞した社会となりましょう。いくら努力しても、どんなに豊かな才能を持っていたとしても、それは、全て無駄になってしまうのですから、社会的な損失にもなるのです。また、格差が絶対悪と見なされて、是正政策ばかりに予算を費やすことになりますと、所得移転政策を利用する怠け者のフリーライダーを増やすことになるかもしれません。

 本当に実現しなくてはならない社会とは、全ての地方、企業、個々人の、努力や能力・特性が生かされ、また、全てにチャンスが開かれている社会なのではないか、と思うのです。現在の問題とは、むしろ、この公平であるべき機会が狭められ、自由な発想や試みが潰されてしまうことにあるのではないでしょうか。