時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

米国民主党の偽善に気付いた米国民

本日も、古代・中世史研究家の倉西裕子が、記事を書かせていただきます。移民推進政策の問題点につきまして、昨日は、移民受け入れ国の内部に、‘リトル移民送り出し国’が成立してしまう危険について指摘させていただきました。では、このような危険が認識されながら、なぜ、外国企業を誘致しようとする動きは活発であるのか、という点につきましては、まさに、この問題こそが、米国大統領選挙にて、民主党のヒラリー候補が敗北した原因を物語るものとなっているかもしれません。
 
それは、移民受け入れ国内部における‘リトル移民送り出し国’、否、将来的には、‘ビッグ移民送り出し国’が成立してしまうことに協力している‘移民受け入れ国’の政治家が存在している、という問題です。
 
特に、この問題の深刻さは、中国共産党政府系企業の海外進出の問題から見えてきます。これまで中国共産党政府は、中国国内において外国企業を誘致する傾向にありましたが、現在では、この段階から、海外に工場を立ててその労働者として中国人を派遣するといった政策にも力を入れるようになっております。このことから、中国系企業の工場と一緒に、中国人労働者も流入してくる傾向にあります。こうした現象は、国籍不明のようなグローバル企業におきましても、しばしば見られます。
 
そして、移民受け入れ国におきまして、外国企業の誘致によって利益を得る人が存在しているとなりますと、それが、政治家なのではないでしょうか。すなわち、「経済特区」を設けるなど、有形無形の便宜を図って外国企業を国内に進出できるようにすれば、政治家は、当該外国企業から巨額献金を受けることができます。政治家は、自らは利益のみを得て、外国人労働者に対する社会保障費などの負の負担部分は、すべて、中産階級を構成し、納税義務を遵守しているような勤勉・勤労な国民たちに押し付けていることになるのです。この結果として、米国では、中産階級の没落が問題となっております。
 
ヒラリー候補の敗北の原因は、中国政府系機関からの多額の献金問題にあった、と言いましても過言ではないかもしれません。移民推進政策は、現実的結果として、政治家やグローバル企業のCEOのみを富ませ、一般雇用者は、解雇や重税に苦しみ、貧富の差が拡大しているもかかわらず、奇妙なことに、米国民主党は、貧富の格差の是正を唱えております。米大統領選挙結果は、米国民の多くが、こうした既得権益者の偽善に気付いたことを示している、ということになるのでしょう。

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(続く)