時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

課税同意権を持つ意義を失った議会?

 議会制度の発展史を眺めてみますと、議会の原初的な役割とは、君主の一方的な課税に対してYES・NOを言うことでした。議会は、この課税同意権を行使することによって、自己の財産を守るとともに、政治に対して一定の影響力を持つことができたのです。

 ところが、立法機関としての役割が強調されている現代の議会では、この役割が弱まっている、あるいは、忘れられているように思えます。本来は、国民の盾となるべきところを、議員自らが、国民に対する一方的な課税者となっているようにも見受けられるのです。

 このような状態ですと、国民は、誰からも財産権を守ってもらえなくなりますし、合意を表明する機会も持てないことになります。国民の自己への課税に関する合意が形成できるように、選挙に際しては、各政党は、より明確に国民の税負担と受益について論じるべきなのではないか、と思うのです。