時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

公共事業が増えると国民の負担も増える!?

 かつて、景気対策と言えば、公共事業の積み増しが我が国の常套手段でした。国民もこの政策を後押ししましたし、ケインズ主義という理論的な後ろ盾もあったのです。しかしながら、長期的に見ますと、この政策は、必ずしも国民にとってプラスにはならないようなのです。

 その理由は、公共事業による施設が完成してしまいますと、その後長期に亘って、施設の維持費をねん出しなければならなくなるからです。確かに、公共事業の工期の間は、受注業者を始めとして、工事関連の需要が伸びますし、一見、景気が回復したように見えます。しかしながら、それは、カンフル剤でしかなく、薬の効果が切れてしまいますと、すぐに元の状態に戻ってしまいます。しかも、今度は、維持費という負担付きとなるのですから、国民の負担はさらにアップするという結果となるのです。

 戦後の政府主導型のインフラ整備が経済成長に大きく貢献した時代が過ぎた現在では、過度な公共事業への依存は、さらに財政を雪だるま式に圧迫してしまうことになります。予算の編成に際しては、くれぐれも、採算性のない事業への予算投入には慎重になっていただきたいと思うのです。