時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

臓器移植法案―最も不憫な子供達

 臓器移植法のA案が衆議院を通過したことで、国民の間でも臓器移植に対する関心が高まっているようです。本法案では、特に小児の臓器売買が起きることが懸念されていますが、もし、指摘されるような事態が起きれば、最も不憫で可哀そうなのは、臓器移植のために犠牲になる子供達なのではないでしょうか。

 本法案の大義名分は、早期に法案を成立させることで、国内での臓器移植を待つ重度の病気の子供達を救うというものでした。確かに、この側面だけに注目しますと、小さな命が救われるのですから、賛成の意見が多数あることは理解に難くありません。しかしながら、もし、この法案によって臓器売買が秘かに行われるとしますと、一人の命が一人の命を犠牲にする、という忌々しき事態が発生することになります。臓器移植を受けるお子さんは、ご両親の愛情の深さゆえに高額な移植治療を受けることができます。その一方で、もし、臓器売買が行われるとしますと、両親から見捨てられ、命まで売られてしまうお子さんがいることになるのです。親からの愛情を受けることなく、病院の冷たい手術台の上で小さな命を終えなくてはならない子供達が、私には哀れでならないのです。

 最近、医師の診断書が偽造されていたという事件も報じられており、脳死の判定にも不安があります。法律の制定によって、犯罪が助長されることはあってはならず、国会議員の方々は、予見される犯罪を充分に考慮して、慎重の上に慎重を期して法案の審議を行うべきと思うのです。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。
<A HREF="https://blog.with2.net/in.php?626231">人気ブログランキングへ</A>