密約を認めて建設的な議論を

　米軍の核持ち込みを認める密約の存在が明らかとなったことで、政府は嘘を吐いてきたとして、非核三原則に反するとして非難する意見も見られます。確かに嘘はいけませんが、今後、議論すべきは、日本国の安全保障を見据えた防衛議論なのではないかと思うのです。

　中国やロシアのみならず、北朝鮮までもが核兵器を保有しつつある今日の現状にあって、国民の多数が、金科玉条の如くに「非核三原則」の堅持を主張し、米軍の核兵器持ち込みに強固に反対するとは思えません。何故ならば、それは、米国の”核の傘”が消えることを意味しますし、同盟国の行動を縛っては、日米同盟の根幹を揺るがすことになりかねないからです。政府の嘘を糾弾することは簡単ですが、その結果、密約を破棄して核持ち込みを禁じるという方向に議論が進むとしますと、我が国の安全は覚束なくなります。

　政府は、ここは潔く、国民に対して嘘を吐いたことを正直に認めるべきなのでしょう。自らの非を認めなければ、自国の安全保障を確実にするための建設的な防衛議論に向けて、将来の展望を開くことができないのではないかと思うのです。

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