時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

北朝鮮の国連除名という選択肢

 1991年9月に、北朝鮮と韓国が国連に同時加盟を果たしたとき、多くの人々が、アジアでも冷戦が終焉し、安定と平和の時代が訪れることを期待したはずです。しかしながら、今になって振り返ってみますと、この時の安易な国連加盟が、今日の北朝鮮問題の元凶なのではないかと思うのです。

 北朝鮮の核開発やミサイル開発は、国連に加盟した後に活発化したものであり、国連の加盟は、北朝鮮を国際社会の一員としたものではありませんでした。むしろ、国際社会の一員を装う一方で、巧妙に国際社会を欺くという戦術を展開する余地を、北朝鮮に与えることになったのです。この側面を考えますと、北朝鮮の国連加盟に際しては、一定の条件を付すべきであったのかもしれません。少なくとも(1)朝鮮戦争終結、(2)NPTを含む国際法遵守の誓約、(3)国連憲章の遵守の誓約・・・は、加盟の最低条件であったのではないでしょうか(加盟国の当然の義務・・・)。

 現在、北朝鮮の国連脱退が懸念されていと報じられていますが、国連憲章第2章第6条には、「この憲章に掲げる原則に執拗に違反した国際連合加盟国は、総会が、安全保障理事会の勧告に基づいて、この機関から除名できる」とあります。北朝鮮から脱退のカードで揺さぶりをかけられるぐらいであるならば、むしろ、安保理は、除名処分を以って、かの国に核放棄を迫ったほうが”まし”なのではないかと思うのです。

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