時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

郵便不正―最大の問題は容易な公文書偽造を許す体制

 昨日、障害者団体向け郵便料金割引制度の悪用に関連して、証明書偽造の廉で現職の厚生省局長の方が逮捕されました。本事件で最も問題とすべきは、安易な公文書偽造を許した体制なのではないかと思うのです。

 そもそも、郵便不正事件は、厚生省から発行された証明書がなくては発生し得ないものでした。この事件の怖さは、不正行為を考え付いた側が、既に、この証明書が簡単に手に入るものと踏んでいたことにあります。この感覚は、明らかに一般の人々の常識から大きく外れていながら、不正行為に関連した人々にとっては、さして難しいものには感じられなかったのです。その背景には、政治家や官僚との”つて”があれば、公文書偽造が可能であるとする情報が一部の人々の間では広がっていたのかもしれません。

 公文書偽造とは、政府の信用を利用した悪質な犯罪であり、たった一つでもこのような事件が発生しますと、以後、政府の発行した証明書の信頼性は著しく損なわれることになります。国民は、政府発行といえども、その証明書を素直に信じられなくなるのです。この事件が、氷山の一角でないことを祈るばかりです。

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