時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

イランの抗議運動は第二の天安門事件となるのか

 イランでは、大統領選挙の集計に不正があったとする疑いが浮上し、現職で当選したアフマディネジャド氏の対抗馬であった改革派のムサビ元首相を支持する人々がデモを組織し、激しい抗議運動を行っていると報じられています。この抗議運動のさなかに、民兵の発砲により一人が死亡したそうですが、当局の対応によっては、第二の天安門事件に発展するのではないかと思うのです。

 大統領が国民から選ばれるという意味においては、イランは、中国よりもはるかに民主化された国と言えます。しかしながら、大統領職に就いた人物が、現職の職権を利用し、以後の選挙において自己に有利になるよう不正を働くとしますと、政権の正当性は大きく揺らぐことになります。いわば、民主的な制度を通して、独裁者が出現してしまうようなものなのです。イランでも、多くの人々がこの可能性を危惧して抵抗運動を始めたのですが、もし、ここで現職の大統領が、軍や武装警察をさし向け、抗議運動に参加した人々への発砲を許し、多数の死傷者を出すような事態に発展すれば、これは、政府が国民に銃口を向けたことになりますので、国内外からの激しい非難を受けることになりましょう。

 アフマディネジャド大統領は、国民からの疑いを晴らすべく、再集計か、選挙のやり直しを行うべきなのではないでしょうか。もし、後ろめたいことがないならば、それができるはずです。

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