時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

婚外子と家族制度の崩壊問題

 本日、日経新聞の社説にて、婚外子の相続の分が不平等である問題を挙げて、結婚の形態の多様化を求める意見が掲載されていました。しかしながら、婚外子には、二つの形態があり、それを混合して論じることはできないのではないかと思うのです。

 上記の社説は、欧米諸国で見られる事実婚を参考にして、結婚届けを提出していないカップルから生まれた子供にも、嫡出子と同等の権利を認めてはどうか、というものでした。この意見には、日本・東京商工会議所も賛成しているようですので、事実婚の増加による出生率の上昇を期待しているのかもしれません。この形態では、家族は同居しており、法律上の届け出の有無以外に、嫡出子と婚外子を区別する要素はなく、相続を平等とすることには、国民の間で一定の理解が得られるかもしれません。

 その一方で、婚外子には、もう一つの形態があります。それは、法律上の配偶者がいながら、他にパートナーや内縁の妻(夫?)を設け、このカップルの間に子が出生した場合です。この形態の場合には、前者の形態とは異なる別の問題が浮上します。前者は、一夫一婦制の枠内にありますが、後者の場合には、その枠外となるからです。民法では、重婚を禁じていますが、もし、嫡出子と婚外子を平等とみなすならば、財産目当ての婚外子の出産も増加しそうですし、法律上の配偶者とその他のパートナーとの間にも平等原則が持ち込まれる可能性もあります。つまり、結果として、一夫多妻制や多夫多婦制を認めるという家族制度の根幹を揺るがしかねない問題が発生するのです。

 果たして、国民は、家族制度の崩壊を望むのでしょうか。そうして家族制度の崩壊は、これから生まれてくる子供達にとって幸せなことなのでしょうか。この問題は、よくよく考えてみる必要があると思うのです。

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