時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

地方分権は同床異夢?

 最近、地方自治体の長を務める若手政治家の活躍が目立っており、大阪府橋下知事や宮崎県の東国原知事など、地方分権を共通のスローガンにかかげて、政界に新たな旋風を巻き起こしそうな気配です。ところで、地方分権と言いましても、実のところ、地方の置かれている立場によって目指す方向性が違うのではないかと思うのです。

 たとえば、財源の問題を一つとりましても、地方の中には、中央政府からの地方交付税交付金なくして財政がもたない自治体もあれば、大都市を抱える自治体のように、財源を中央に依存する必要性がない自治体もあります。このため、財政権限の地方への大幅な移譲は、前者の場合には、中央からの財政支援の縮小を意味しますが、後者にとっては、独自財源が拡大することになります。宮崎県を前者としますと、大阪府は後者ですので、両者の意見が容易に一致するとは思えないのです。

 中央と地方との関係は、財政移転政策が設けられているように、国家を枠組みとして考えなければならない側面を持ちます。地方分権のあり方は、地方の独立性強化に向けてひた走るのではなく、全体のバランスを考えて慎重に検討すべきと思うのです。

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