時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

北朝鮮問題―NPT体制の存続をかけた闘い

 アメリカの北朝鮮特別代表のボスワース氏は、北朝鮮が対話路線に復帰する道は、未だに閉ざされていないと呼びかけたようです。しかしながら、北朝鮮がウラン産出国であることを考えますと、北朝鮮が、この呼びかけに応じて六カ国協議に復帰するとは思えないのです。

 何故ならば、六カ国協議に復帰するよりも、北朝鮮は、核兵器輸出国の道を選択するかもしれないからです。先日も、北朝鮮が、核兵器の輸出を示唆したと報じられていました(自衛のための核開発は嘘であった・・・)。この声明を受けて、NPT体制から脱退を表明し、核兵器を輸入する国も現れないとも限りません。こうなりますと、NPTの枠外で核の拡散が起こり、NPT体制の維持が無意味となってしまうのです。北朝鮮瀬戸際外交は、国際社会に対して、NPTの将来をめぐる重大な決断を迫っているとも言えるのです。

 NPT体制を維持するならば、北朝鮮の核放棄は、あらゆる手段を尽くしても実現しなくてはなりません。この作業に失敗しますと、何れ、NPT体制は崩壊することになります。NPT体制が崩壊すれば、かの国は、合法的に自国の核兵器を他国に輸出することになりましょう。神話の世界では、しばしば悪逆な怪物退治のお話が出てきますが、北朝鮮には六カ国協議に復帰するメリットがないとしますと、国際社会は、この怪物を退治すべく、早期に決断すべきなのではないかと思うのです。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。
<A HREF="https://blog.with2.net/in.php?626231">人気ブログランキングへ</A>