時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

北朝鮮への国連制裁決議―心配な中東諸国の協力

 現在、国連安保理では、北朝鮮に対する武器の完全禁輸を含む決議案が調整されていると報じられています。もし、この決議案が成立するとしますと、全ての国連加盟国は、この決議に従う義務を負うことになるはずなのですが、中東諸国の態度が心配なところです。

 何故ならば、核開発や長距離ミサイルの発射実験など、北朝鮮が何らかの行動を起こすたびに、シリアやイランといった中東諸国が、軍事上の技術協力を行っているとの指摘があるからです。このことは、北朝鮮の相次ぐ暴挙には、周辺諸国に脅威を与え、かつ、動揺しつつある自国の体制を引き締めるという目的の他に、外貨獲得を見込んだ武器輸出の狙いがあることを示唆しています。もし、中東諸国が、北朝鮮に対して武器の製造を委託していたり、あるいは、有力な武器供給力として先行投資していたとなりますと、この国連制裁決議に誠実に従うかどうか不安が残ります。しかも、さらに踏み込んで憶測すれば、NPT体制が崩壊して利益を得るのは、核兵器の原料となるウランを産出する北朝鮮であるのかも知れないのです。

 国連決議を採択しても、実効力が伴いませんと無意味となりますので、確実に制裁が実施されるためのモニタリングなどの強化をも合わせて検討すべきなのではないでしょうか。日本国は、直接に北朝鮮からの脅威を受ける地政学上の位置にあるのですから、より厳しい制裁を求めるとともに、早急に自国独自の制裁の強化にも踏み出すべきと思うのです。

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