時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

天安門で散った学生こそ中国の誇り

 1989年6月4日、中国の天安門広場では、多くの若者が人民解放軍の弾圧によって命を散らすことになりました。現在、中国では、この事件を歴史から抹殺しようと躍起になっております。

 天安門事件で犠牲となった学生の親たちは、名誉回復を求めて中国政府に対する抗議活動を続けてきました。一方の中共政府は、家族の切なる訴えにも頑として聞く耳を持とうとせず、学生達には、反逆者という不名誉なレッテルは貼られたまま、慰霊さえままならぬ状況が続いているそうです。こうした冷淡、無慈悲な中国に対する国際的な批判は高まる一方ですが、中国の名誉を守っているのは、他ならぬ、天安門で散った学生達であることに、中共政府は気が付いているのでしょうか。あの日、迫りくる戦車の前に敢然と立ちはだかった一青年の写真は、全世界に衝撃を与えました。そして、ネット上に公開された天安門事件の動画は、目を覆うばかりの凄惨な状況にあっても、なおも、中国の未来のために抵抗を続けようとした学生達の心の叫びを伝えております。

 習政権成立以来、独裁体制の強化と共に、民主化運動への締め付けも強まっております。暗黒大陸へと落ち込んでゆく中国を見せつけられながら、それでもなお、中国の将来に対する希望を捨て切れないのは、あの勇気ある青年の、そして、民主化に命を捧げた数多くの天安門の学生達の姿が目に焼き付いているからかもしれません。中国の真の誇るべき英雄が誰であったのか、全世界の人々は知っていると思うのです。

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