時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

韓国の対日追加請求は失敗するのでは?

 これまで、”日韓基本条約体制”について、個別の協定を検証しながら記事を書いてきましたが、これまでの検証から推測できることは、今般の韓国による対日追加請求は、失敗に終わるのではないかということです。

 日韓交渉の過程について明らかになったことは、アメリカは、基本的な交渉は日韓の二国間交渉に任せながらも、重大な局面においては、常に韓国に対して有利な方向に妥結を促したことです(韓国はアメリカに事大…)。アメリカの韓国優遇の背景には、日本国が旧敵国であり、かつ、戦時期に日韓併合を”過酷な植民地支配”と認定した過去の歴史もありますが、最大の要因は、目下の冷戦にあったことは言うまでもありません。一方の日本国側も、併合時代に対する”贖罪意識”と冷戦構造における西側陣営の一員としての責務から、対米協力として韓国有利の協定妥結を飲むことになりました。日韓基本条約体制の基本構図が、冷戦対応体制であったとしますと、今日、この前提は、米ソ冷戦の終焉、中国の台頭、そして中韓の接近により既に崩壊しております。対北朝鮮を根拠に、未だに日米韓の協調は表面的には謳われてはいますが、米中の間で”蝙蝠化”した韓国は、味方にしても、敵にしても危険な存在となり、冷戦期のような役割は期待できなくなりました。しかも、戦後、長く伏せられてきた韓国の実態も明らかとなったことで、日本国では贖罪意識が消え去ると共に、韓国の過激な反日政策は、修復不可能なまでに両国間の関係を悪化させました。今後のアメリカの対韓政策は不透明ですが、もとより韓国有利であった日韓請求協定の枠を越えてまで、韓国側の対日追加請求を認め、日本国に対して支払いに応じるよう強く圧力をかけてくるとも思えません(つい最近までは、圧力をかけてきた節があるのですが…)。

 日韓基本関係条約の締結からあと10日で50周年を迎えるそうですが、友好ムードは見られず、むしろ”日韓基本条約体制”の揺らぎが露呈してきております。そして、中国に事大した韓国の追加請求がこの揺らぎの象徴であるとしますと、日本国政府も、否が応でも時代の変化に直面せざるを得ず、対韓政策の抜本的な見直しを迫られるのではないかと思うのです。
 
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