時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

日韓慰安婦問題交渉の行方-安易な妥協は禁物では?

 先日、慰安婦問題をめぐる日韓交渉に進展があったとする朴大統領の発言が報じられたばかりですが、この問題については、安易な妥協は禁物ではないかと思うのです。

 交渉の進捗状況については不明なものの、韓国側が従来通り、謝罪と賠償を求める一方で、日本側は慰安婦像の撤去と当問題の最終解決を要求しているとも伝わります。報道の記事は、日本国側が”法的責任”を認めることには難色を示しつつも、両者が相互に相手方の要求を受け入れて折り合えば、交渉が妥結するかのような書きぶりです。しかしながら、日本国が、個人補償であれ、韓国の請求に応じるとなりますと、個人の請求権は日韓請求権協定では消滅していないとして、今後とも、韓国側は、別の問題でも謝罪と賠償を求めることでしょう。しかも、慰安婦像の撤去などが日本側の条件となりますと、たとえ像が撤去されたとしても、日本国が韓国の”嫌がらせ”に屈した構図となる上に、国際社会からは、日本国が慰安婦問題を正式に事実と認めたと受け取られる恐れもあります。さらには、韓国側の慰安婦像設置の表向きの理由は”人道問題”として歴史に刻むことであったわけですから、日本国が、”お金で不都合な歴史を封じ込めた”とする悪評も立つかもしれません(一方、韓国の行動も、賠償目的の嫌がらせであったことが明白となる・・・)。

 何れにしましても、最悪の結果は、日本軍による”慰安婦強制連行”が歴史的事実として定着してしまい、日本国の名誉が回復されないことです(不名誉が確定…)。韓国は、面子に拘る国ですし、中国と共同でユネスコ記憶遺産への慰安婦問題の登録を試みておりますので、簡単にこの問題を取り下げるとも思えないのです(逆に、日本国による謝罪と賠償を、証拠と見なすかもしれない…)。

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