時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

韓国理解の結果が日韓関係悪化では?

 先日、「首を傾げる”日韓未来論”」と題し、神戸大学教授の木村幹氏の見解に対して疑問を呈したのですが、本日の日経新聞でも、”今を読み解く”の欄で日韓関係と歴史問題について、同様の趣旨の一文を載せておられました。

 副題にも見えるように、氏は、”相手の考え 知る努力”を、と訴えておられます。日韓の間で相互理解が深まれば、悪化の一途を辿る日韓関係は改善されると信じておられるようです。しかしながら、日韓関係の悪化の最大の原因は、日本国民の多くが、韓国の考え、つまり、本心を知ってしまったことにあるのではないでしょうか。例えば、氏は、紙面において、韓国側は、日韓基本関係条約を日韓の国力差を背景とした”押し付けられた”条約と捉えていると解説しています。この解説によりますと、韓国側が日韓基本条約を自らに不利であったと認識していることが、日本国に対して追加の補償を要求する原因となります。ところが、韓国側のこうした認識は、日本国民にとりましては、驚くほど傲慢で強欲な要求と映ります。そもそも、国力において弱い立場にある側は、常に強い立場の国から不利な条件を”押し付けられ”ると考えること自体が間違っております。韓国は、冷戦の最前線に位置しながら弱小国であったからこそ、日米の配慮によって有利な条件による経済支援を約束されたからです。実際に、”漢口の奇跡”は1965年以降の出来事であり、莫大な経済支援がもたらしたことは紛れもない事実です。

 にも拘わらず、弱小故に超大国であったアメリカに事大したことも忘れ、日本国から有利な条件で経済支援を受けた歴史も抹消し、その上で、日韓基本関係条約は”押し付けられた”として追加請求を行うのでは、日本国の対韓感情が悪化するのは当然のことです(韓国は、何故、日本国が嫌韓になったのか、日本側の考えを理解しようとしているのでしょうか…)。相手の考えを知ることは、相手の言い分を認めることではありませんので、関係改善の決め手になるとは、到底、思えないのです。

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