時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

曖昧な幕引きがオウム真理教信者を増やす

 地下鉄サリン事件から20年が過ぎた今日、若者を中心に再びオウム真理教新興宗教の信者が増加傾向にあるそうです。

 国家転覆を企んだとされる地下鉄サリン事件をはじめとした数々のテロ事件を覚えている人々にとりましては信じがたいことなのですが、オウム真理教が息を吹き返しているとしますと、その原因の一つは、この事件の幕引きの甘さにあったのではないでしょうか。オウム真理教には、未だに解明されていない謎が数多く残されています。故金丸信議員や故山口敏夫議員といった政治家のバック、国松長官狙撃事件が示唆する北朝鮮の影、松本智津夫朝鮮半島との繋がり、訓練所があったとされるロシアとの関係、そして、統一教会創価学会の別働隊とする噂…など、どれもが今日至るまで真偽不明のままです。生物化学兵器が使用された重大なテロ事件であり、オウム教団による日本国乗っ取りが計画されたクーデタ未遂事件ながら、破防法さえ適用にならなかったのですから、オウム真理教事件は、あまりにも中途半端な幕引きとなったのです。

 オウム真理教の闇を徹底的に暴くことなく、曖昧に事件を処理したことは、事件再発の芽を残したようなものであり、同教団に対する国民の警戒心を弱める原因ともなりました。今からでも遅くはありませんので、入信=テロリストとなりかねない危険性を、情報として国民に知らせるべきと思うのです。

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