時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

総選挙の結果、もうひとねじれしたら

 現在の衆議院参議院の状況を見ますと、衆議院において連立与党が3分の2以上の議席を確保しているため、かろうじて、衆議院が、政策決定の主導権を握っています。しかしながら、仮に、衆議院解散総選挙の結果、連立与党がかろうじて過半数を獲得しつつも、3分の2以上の議席を確保できない場合には、”良識の府”であるはずの参議院の方に、事実上、政策決定の主導権が移ることになります。つまり、今でも捩じれている衆参の関係が、さらにもうひと捩じれしてしまうのです(民主党の混乱を考えますと、かなり高い確率で起きそうなシナリオ)。

 この本格的な捩じれに対しては、幾つかの対策が考えられます。

1)自民党民主党との間で、大連立を組みこと。ただし、国民の選択肢が消滅するに等しく、国民は、どの政策が法案化されるか、まったく予測がつかなくなります。
2)政党再編を実現すること。この方法の方が、国民にとりましては政策の相違点が明確になりまし、衆参両院において同時に組み換えが起きますので、大連立よりも望ましいかもしれません。
3)憲法第59条を改正すること。三分の二条項は、日本国の政治制度の欠陥ですので、何時かは改正しなければなりません。長期的な視点から見ますと、この規定を過半数に変えるだけで、国民代表を原則とする衆議院が、政策決定の主導権を確保することができるようになります(民主党は反対かもしれませんが・・・)。

 もちろん、将来を展望しますと、参議院の存在意義を根本的に見直す作業が待っています。しかしながら、まずは、総選挙を決断する前に、ねじれへの対策を十分に準備しておく必要があると思うのです。