時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

地球温暖化対策は新興国の参加を見極めてから

 地球温暖化ガスの削減については、欧米諸国や国連を中心に排出権取引などに関する取り組みが既に進行しているようです。しかしながら、中国やインドといった新興国の参加を確認してからではないと、具体的な政策や制度を決定することは難しいのではないか、と思うのです。

 何故ならば、経済成長著しい新興諸国が参加するとしないとでは、前提条件が180度違うからです。仮に、これらの諸国が参加しない、つまり、削減義務を負わないとしますと、その他の先進諸国がいくら努力しても、その効果は水泡に帰すことになります(現在がこの状態・・・)。新興市場において何らの規制もなければ、企業は、自国の規制を避けるために、規制の緩い諸国に生産拠点を移してしまうからです。これでは、全く削減効果が期待できないどころか、さらに温暖化ガスを増やす結果となりましょう。言い換えますと、先進国での温暖化ガス対策の強化が、逆に、新興国での温暖化ガスを増加させるという逆効果を招いてしまうのです。これでは、困ったことです。

 温暖化ガスの削減については、制度づくりに先走る前に、まずは、参加国の確認をしませんと、全くの無駄になってしまいます。むしろ、新興諸国が不参加の場合でも有効な政策が有効を考えておく必要があると思うのです。